第29回KAWASAKIしんゆり映画祭 2023
『この映画たちがあなたと出会えますように』
毎年KAWASAKIしんゆり映画祭は職業や年齢、経験値も多様な市民スタッフで構成されます。
立場の違いはあれ、なるべくたくさんの人に映画館へ足を運んでもらい、映画を通じてひとときの時間を共有したい、その映画に対する好きな気持ちを分かち合いたいという共通の想いで作品ラインナップを構成していきます。
そのラインナップは私たちと同じくふぞろいなものかもしれません。
しかし、それでも私たち市民スタッフの愛情だけではなく、何よりもたくさんの人たちに「この映画と出会ってもらいたい」という想いを込めたセレクトとなっております。
あなたが、未だ見ぬ映画作品と運命的な出会いを果たせますよう、心より願い、ご来場をお待ちしております。
「第29回KAWASAKIしんゆり映画祭 2023」は終了しました。
多くのお客様とご登壇いただいたゲストの皆様、有難うございました!
2023年度 上映作品紹介
※ ゲストトーク/イベントは、変更または中止になる場合があります。
阪元裕吾監督から目を離すな!
『ベイビーわるきゅーれ』(PG12)

バリアフリー日本語字幕付き上映

あらすじ
女子高生で殺し屋の ちさと と まひろは困難に直面していた。高校卒業後は表の顔としてアルバイトをしなければならず、家賃や公共料金を自分たちで支払わなければならないためだ。アルバイトを比較的そつなくこなすちさとに、コミュ障のまひろは嫉妬を抱く。二人の仲は徐々に険悪になり……。
スタッフのオススメ
日常コメディパートとバイオレンスアクションパートの緩急が凄まじく、だがどちらも一級品の異色のエンターテインメント作品。カルト作品の歴史が始まりました。特に国際的なスタントパフォーマー伊澤彩織さんのアクションは必見です。ぜひ大きなスクリーンでご覧ください。
『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』

バリアフリー日本語字幕付き上映

あらすじ
殺し屋の ちさと と まひろ は、相変わらずジムの延滞料金や保険料の支払いに滞り、借金を抱えながらの生活。それでも銀行強盗を退治したり、着ぐるみのアルバイトをしたり仲良く過ごしていた。そんな二人を、殺し屋協会のアルバイトから正規クルーへの昇格を狙う神村ゆうり・まこと兄弟が襲う……。
スタッフのオススメ
前作に輪をかけて緩くなり、コメディが過ぎる日常パートの比率が高くなった2作目です。しかし油断した頃にやってくる前作を凌駕するアクションと、燃える展開に魅せられ続ける101分。コメディエンヌとして爆発している髙石あかりさんの演技、1990年代を思い出させるちさと・まひろの衣装にも注目です。
ゲスト

阪元裕吾 (さかもと・ゆうご) 監督
1996年生まれ、京都府出身。20歳で発表した『ベー。』で「残酷学生映画祭2016」のグランプリを受賞。ウルトラ暴力映画『ハングマンズ・ノット』では「カナザワ映画祭2017」で期待の新人監督賞と出演俳優賞のダブル受賞。続く、パン屋を舞台にしたブラックコメディ『ぱん。』では「MOOSICLAB」で短編部門グランプリ、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」で短編コンペティション部門グランプリ、「プチョン国際ファンタスティック映画祭」で審査員特別賞を受賞し、大学在学中に圧倒的な暴力描写で自主映画界を席巻。『ファミリー☆ウォーズ』(18)で商業デビュー後、『ある用務員』(20)、『黄龍の村』(21)、『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』(21)、『グリーンバレット』(22)を発表し、『ベイビーわるきゅーれ』(21)では日本映画批評家大賞・新人監督賞を受賞するなど、今最も勢いのある映画監督である。
園村健介 (そのむら・けんすけ) アクション監督
1981年生まれ、宮城県出身。学生時代に倉田アクションクラブに入団、スタントの基礎を学ぶ。数々の作品でスタントプレイヤーとして活動。2006年、『LOVE DEATH』でアクション監督デビューし、映画、TV、ゲーム等でアクション監督として活躍。アクション監督を務めた主な作品に、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』(15)、フルCG映画『バイオハザード』シリーズ (08、12、17)、『ベイビーわるきゅーれ』(21)、『BAD CITY』(22) 等。『東京無国籍少女』(15)、『マンハント』(17) にてジャパンアクションアワードベストアクション監督賞を受賞。監督作『HYDRA』(19)、『BAD CITY』(22) は、多数の海外映画祭に正式招待され好評を得る。

川崎ゆかりの映画
『陸軍登戸研究所』

あらすじ
戦前、川崎市生田に存在したとされる実験場。そこを拠点として風船爆弾、殺人光線、ニセ札の製造、生物・化学兵器などの多岐にわたる研究開発が秘密裏に行われ、終戦直後の証拠湮滅により歴史から抹消された。当時の関係者による証言をもとに、通称「登戸研究所」の真相に迫る渾身のドキュメンタリー作品。
スタッフのオススメ
正式名称、第九陸軍技術研究所。敷地の一部は明治大学生田キャンパスとなり、当時の建物も残っています。身近に残る戦跡を知り、いま一度、歴史の暗部に目を向けてみませんか。この映画を見ると戦争の恐ろしさは戦闘行為だけではないことがよくわかります。「明治大学平和教育登戸研究所資料館」にも足をお運び下さい。
『喜劇 駅前団地』

あらすじ
舞台は鉄道が走る東京近郊の町。地元で事業拡大を図る医師・戸倉と、開業のために東京からやって来た女医・君江は、初対面から互いに反発し合う。一方で、土地を売って悠々自適の生活をしている豪農・孫作に、さらに土地を売らせようとすり寄る不動産業者の思惑が発端となり、町の人間模様は思わぬ方向へと動き出していく 。
スタッフのオススメ
東宝「駅前」シリーズの第二作です。撮影は百合ヶ丘、西生田周辺で行われました。60年以上前のことですから風景はすっかり変わっていますが、いまもロケ場所がしっかりわかるシーンもあります。たとえば読売ランド前駅の踏切。ちょっと感動ものです。地元を知っている人にはぜひ観ていただきたい映画です。
ゲスト

藤田直哉 (ふじた・なおや) さん
批評家 日本映画大学准教授。1983年、札幌生まれ。東京工業大学社会理工学研究科価値システム専攻修了。博士(学術)。著書に『虚構内存在』『シン・ゴジラ論』『攻殻機動隊論』『新海誠論』(作品社)、『新世紀ゾンビ論』(筑摩書房)『娯楽としての炎上』(南雲堂)『シン・エヴァンゲリオン論』(河出書房新社)『ゲームが教える世界の論点』(集英社)、共編著に『地域アート』(堀之内出版)『3.11の未来』(作品社) などがある。