「第28回KAWASAKIしんゆり映画祭 2022」は終了しました。
本祭ラインナップ「 迷ったときこそ映画をみよう」
みなさん、映画を観ていますか?
2020 年、新型コロナウイルスの感染が始まった頃、ほとんどの映画館が一時休業に追い込まれました。
その後しばらくして営業は再開しましたが、なかなかお客様が戻ってきませんでした。
ここ最近、ようやく映画館にもお客様が戻ってきて、大ヒット作品も生まれています。
でもまだまだ大切な作品が、必要とされている人たちに届いていないんじゃないだろうか?
そんな思いで私たちは KAWASAKI しんゆり映画祭を続けてきました。
この映画祭は市民ボランティアのスタッフによって企画・運営されており、スタッフの身近な視点や
思いで作品を選んできました。
今年、世界の混迷が続く中、「生きる力」「自分の生きる道」に焦点を当てて作品を選んでみました。
いっとき映画を楽しんでいただきながら、これからの生きるヒントを見つけていただければ幸いです。
2022年度 上映作品紹介
「自分のわくわくにしたがう」
『名付けようのない踊り』
バリアフリー日本語字幕付き上映 UDCast®対応作品
あらすじ
世界的ダンサーとして活躍する田中泯、公演歴は3000回を超える。『たそがれ清兵衛』から始まった映像作品への出演も、日本のみならずアジアやハリウッドと多彩。いかなる形容をも退けてきた田中泯のダンスを『メゾン・ド・ヒミコ』以来親交を温めてきた犬童一心監督が、世界各地を巡りながら撮影したドキュメンタリー
おすすめコメント
同じ踊りはなく、どのジャンルにも属さない泯さんの〈場踊り〉、農作業で身体をつくる日常と生き方。ご自身が「私の子供」と表現する幼少時代は、『頭山』の山村浩二 さんのアニメーションで描かれる。著作をもとにしたナレーションの声、そして哲学的な言葉にしびれる120分… 田中泯とあなたのダンスが始まる!(K2)
ゲスト
犬童一心 (いぬどう・いっしん) 監督
ぴあフィルムフェスティバルに高校生時代に入選。自主制作アニメーション「金魚の一生」でキリンコンテポラリーアワードグランプリ、そのスカラシップ作品「二人が喋ってる。」が映画監督協会新人賞を受賞してプロの世界へ。「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」「最高の人生の見つけ方」他多数の作品を監督。2022年公開の最新作は舞踊田中泯氏のドキュメンタリー「名付けようのない踊り」、田中圭主演「ハウ」。
©️Madada Inc/Rin Ishihara
田中 泯 (たなか・みん) さん
1966年クラシックバレエとアメリカンモダンダンスを10年間学び、74年より「ハイパーダンス」と称した新たなスタイルを展開。当時の現代美術、文化界に先駆的な衝撃を与える。78年パリ秋芸術祭でルーブル装飾美術館で海外デビュー。既存のジャンルを超えた前衛的パフォーマンスは海外でも高い評価を得る。85年からは山村へ移り住み、農業を礎とした舞踊活動を継続。「踊りの起源」への探求、“日常に存在するあらゆる場”を即興で踊る「場踊り」は、日本および世界各地で現在も繰り広げられ、その公演は3000回を超える。02年映画『たそがれ清兵衛』(監督:山田洋次)でスクリーンデビュー、第26回日本アカデミー賞新人俳優賞、最優秀助演男優賞を受賞。その後国内外に関わらず多数出演。22年1月、田中泯ドキュメンタリー映画「名付けようのない踊り」(監督:犬童一心)が全国各地で公開中。8月16日からは配信も開始中。
※
11月4日(金)に予定している田中泯さんのゲストトークは、コラボレーションスペース(アートセンター3階)で行います。
映像館(同2階)での上映終了後、コラボレーションスペースへの移動をお願い致します。
尚、本ゲストトークをご覧になるには、「名付けようない踊り」の11月4日(金)の映画鑑賞チケットが必要となります。
また、イベント終了時間は調整中のため、同日の「ハケンアニメ!」「未知への飛行―フェイル・セイフー」をご鑑賞予定のお客様はご留意ください。
『夢みる小学校』
あらすじ
30年前から体験学習を践している先進的な学校が和歌山県にあります。テストがない、宿題がない、先生がいない、「きのくに子どもの村学園」。映画の主な舞台はその後、2009 年にできた「南アルプス子どもの村小学校」。子どものしあわせを一番に考えた学校で生活する子ども達を約1年間追ったドキュメンタリーです。
おすすめコメント
この映画には、中心となる小学校の他にも複数の公立学校が出てきます。共通点は、世の中の「あたりまえ」に縛られていないこと。そのままの自分でいられる自由な場所で、子どもたちが見せてくれる成長と活きいきとした表情が見どころです。そして、何よりも子どもが笑顔でいる場所は、大人も笑顔の場所でした!
(まるこ)
ゲスト
オオタ ヴィン 監督
愛知県出身、東京都八王子市在住。個人スタジオ「まほろばスタジオ」主宰。プロデューサー、監督、撮影、編集、デザイン、雑用など映像制作のすべてをひとりで兼任することで、パーソナルな質感の映画づくりを愉しんでいる。発酵食、伝統食で自身の体調を改善させた体験を活かし「医食同源・食養生」をテーマにした「いただきます1みそをつくるこどもたち」を初監督。累計上映回数800回を今もなお更新中のロングランヒットとなる。「有機農業と発酵」をテーマにした2作目の「いただきます2ここは発酵の楽園」に次ぎ、本作の「夢みる小学校」は、第3作目になる。著書に「子どもはミライだ!」(木楽舎)。
西郷孝彦(さいごう・たかひこ)さん
~ 世田谷区立桜丘中学校・前校長~
1954年横浜生まれ。幼少児から、横浜山手や米軍基地の異国の文化に触れながら育つ。上智大学理工学部を卒業後、1979年より都立の養護学校(現:特別支援学校)をはじめ、大田区や品川区、世田谷区で数学と理科の教員、教頭・副校長を歴任。2010年より10年間、世田谷区立桜丘中学校長に就任し、インクルーシブ教育を学校経営の中心に据え、校則や定期テスト等の廃止、ICTの活用、個性を伸ばす教育を推進した。2020年3月退職。著書に『校則なくした中学校 たったひとつの校長ルール』『「過干渉」をやめたら子供は伸びる』
「大好きになる、夢中になる」
『ハケンアニメ!』
バリアフリー日本語字幕付き上映 HELLO! MOVIE®対応作品
あらすじ
直木賞作家・辻村深月の同名ベストセラー小説を実写映画化した熱血お仕事エンタテインメント。新人アニメ監督・斎藤瞳が「覇権」を目指して、天才アニメ監督に挑戦状を叩きつける!最初は現場スタッフと噛み合わず、様々な障害や試練に振り回される瞳。徐々に仲間たちの信頼を得て、成長していく姿を描きます。
おすすめコメント
劇中で「魔女」とアニメ業界のお話なので、マニア向けでは?と思う人がいるかもしれません。でも物語の核となるのは「好きだからこそ悩み、怒り、でもやめられない!」という仕事愛。最初は頼りなげな吉岡里帆さん演じる瞳が、たくましく成長していく姿に胸熱!モノ作りとは?誰のために作る?というメッセージがストレートに伝わってきます。(ひろしニイニイ)
ゲスト
吉野耕平 (よしの・こうへい) 監督
1979年、大阪府出身。『夜の話』(00)がPFFにて審査員特別賞を受賞、『日曜大工のすすめ』(11)が第16回釜山国際映画祭ショートフィルムスペシャルメンション受賞。CMプランナー、MVディレクターを経て、CGクリエイターとして『君の名は。』(16)に参加した後『水曜日が消えた』(20)で劇場長編監督デビュー。次の時代を担う映像クリエイター選出プロジェクト「映像作家100人2019」にも選ばれている。
『サマーフィルムにのって』
川崎新都心街づくり財団presents
あらすじ
ハダシは時代劇映画に夢中の高3女子。だが、所属する映画部が作るのはキラキラ青春恋愛映画ばかり。撮りたい時代劇が作れずくすぶっていたハダシの前に、武士役にぴったりな凛太郎が現れる。出会いに運命を感じたハダシは仲間と共に傑作時代劇を作ろうと張り切るが、彼は未来からやって来たタイムトラベラーだった…。
おすすめコメント
時代劇オタクの女子高生が仲間たちと映画制作に奮闘する姿を、SF要素も織り交ぜて描いた青春映画の快作。松本監督は設定過多にも思える要素を巧みに融合させ、主演の伊藤万理華と仲間の個性豊かなキャラクターが相まってエネルギーに満ちた物語を作ることに成功。ラストシーンは観る者の心を打つみずみずしい作品になっている。“最高にしびれる青春映画"である本作を大きなスクリーンで堪能してほしい。(H.M)
『ミラクルシティコザ』
あらすじ
沖縄市コザ、ここで1970年代にベトナム戦争に向かう米兵たちを熱狂させた伝説のバンドのメンバーだったハルが事故死。現世にやり残したことがあるハルは、孫の翔太の身体と入れ替わる。一方、翔太は1970年のハルの身体にタイムスリップ。そこで翔太は、現在のコザからは考えられない人々の熱い生き方に衝撃を受ける!
おすすめコメント
ハイサイ!ウチナー大好き、ひろしニイニイだよ!この映画はオキナワンロックに人生を賭けた人たちの熱い物語。ロックを通じて現代と1970年をつなぎ、世代を超えて伝えようとしたものとは?青い海と空だけが沖縄の魅力じゃない!この映画で、あなたは今まで知らなかった沖縄の一面を知る!絶対に見逃せないさー!!
ゲスト
平一紘(たいら・かずひろ)監督
1989年8月29日生まれ 沖縄市出身、在住。特技:特殊メイク。地元の百貨店を退職し、沖縄から最高の映画を発信することを目指す映像制作チームPROJECT9を結成、多数の自主制作映画を発表。第3回未完成映画予告編大賞グランプリならびに堤幸彦賞を受賞し、今年公開された桐谷健太主演で初の劇場映画『ミラクルシティコザ』(’22)は沖縄で半年を超えるロングランヒット。最新作は「ミッドナイトスワン」の服部樹咲主演のショートフィルム『おかあの羽衣』
「自分らしく生きたい」
『マイスモールランド』
あらすじ
17歳のクルド人の女子高生サーリャは、故国を逃れ幼い頃家族と来日。日本人と変わらぬ高校生活を送り、アルバイト仲間の聡太とは親交を深めている。ある日、一家は難民申請が不認定となり在留格を失う。日常の生活が次々と奪われ、孤立していくサーリャ。理不尽な社会と向き合いながら考える自分の居場所とは…。
おすすめコメント
在日クルド人の方々への丁寧な取材を重ね生み出された作品。日常生活が切々と描かれ、リアルな感触が胸を打つ。サーリャがアイデンティティに悩 み、聡太と少しずつ気持ちを寄せ合う姿は瑞々しく切ない。美しい映像も必見私たちは何を問いかけられているのか?今だからこそ観て、知って、考えたい。(C.T)
ゲスト
川和田恵真 (かわわだ・えま) 監督
1991年生まれ、千葉県出身。イギリス人の父親と日本人の母親を持つ。2014年から「分福」に所属し、是枝裕和監督の作品等で監督助手を務める。2022年、『マイスモールランド』で商業長編映画デビュー。第72回ベルリン国際映画祭に正式招待され、アムネスティ国際映画賞スペシャルメンションを授与された。
嵐 莉菜 (あらし・りな) さん
2004年5月3日生まれ、埼玉県出身。「ミスiD2020」でグランプリ&ViVi賞のW受賞。2020年よりViViで専属モデルとして活躍中。日本とドイツにルーツを持つ母親とイラン、イラク、ロシアのミックスで日本国籍を取得している父親がいる。本作が映画初出演にして初主演となる。
『ツユクサ』
副音声イヤホンガイド付き上映
あらすじ
小さな港町に暮らす芙美。気の合う友人や年の離れた親友との時間を大切に過ごしていた。ある日、運転する車に隕石が衝突。1億分の1の出来事に何か奇跡が起こるのか…。彼女がひとりでこの町に暮らすのには理由があったのだ。同じように町に越してきた篠田との運命的な出会いを通して、日常に少しずつ変化が訪れる。
おすすめコメント
主人公がつらい過去を抱えながらも、日常の中にささやかな幸せを見出していく姿が丁寧に紡がれています。脇を固める豪華俳優陣とのコミカルな掛合いにほのぼのさせられます。誰しもが少なからず事情を抱えていたり、人との距離の縮め方に迷ったりするものです。そんな大人に寄り添ってくれるあたたかい作品です。(C.T)
ゲスト
平山 秀幸(ひらやま・ひでゆき)監督
1950年生まれ。福岡県出身。『マリアの胃袋』(90)で監督デビュー。『ザ・中学教師』(92)で日本映画監督新人賞を受賞したのち、『学校の怪談』(95、96、99)シリーズが大ヒット。また『愛を乞うひと』(98)で第22回モントリオール世界映画祭国際批評家連盟賞、さらに第22回日本アカデミー賞では最優秀作品賞と最優秀監督賞を獲得するなど、その他にも手掛けた作品は国内外で高く評価される日本映画界を代表する監督。近年も『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(19)で、第43回日本アカデミー賞の優秀監督賞と優秀脚本賞を受賞し、映画への製作意慾はとどまるところを知らない。
小林 聡美 (こばやし・さとみ) さん
1965年生まれ。東京都出身。映画デビュー作『転校生』(82)をはじめ、『かもめ食堂』(06)や『めがね』(07)、人気ドラマシリーズ「やっぱり猫が好き」(88〜91)など数多くの映画やドラマに主演。映画『紙の月』(14)では第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。近年の出演は、映画『閉鎖病棟 −それぞれの朝−』(19)、『騙し絵の牙』(21)など。また「聡乃学習」(19)はじめエッセイ本などの著書も多数出版している。
『グレート・インディアン・キッチン』
あらすじ
インドの高位カーストの男女がお見合い結婚をし、夫の両親との同居生活が始まる。舅は頑固な伝統主義者で、料理は一日三食作り立てが当たり前だった。一切の家事を担う重労働の日々。夫も身勝手な要求ばかりで妻を助けない。その重荷から逃れられるのは、彼女が穢れた存在とされる生理期間のみだった。
おすすめコメント
夫と舅が求める伝統的生活では電化製品を使わない、洗濯は手洗いなど、新婚の妻を追い詰める。そんな中でも手際よく作られる料理シーンは映画のスパイスになっている。都会的な妻は慣習に合わせようと奮闘するが…。遠い国の話ではない身近な出来事。鳥の声、景色、結婚式やダンスのシーンはとても美しい。(ジャスミン)
ゲスト
流水りんこ (ながみ・りんこ) さん ~漫画家~
ホラー漫画家として活躍するかたわら、インドに魅せられ渡印を重ね、インドのケララ出身である夫・サッシーと出会い結婚。夫婦や子供たちのことを描いた『インド夫婦茶碗』は、長期の人気連載となっている。
『犬部!』
あらすじ
獣医学生の花井は「どんな命も殺さない」をモットーに、友人の柴崎と行き場のない犬猫保護活動の『犬部』をたちあげた。卒業後花井は開業獣医に、柴崎は保健所職員としてそれぞれのやり方で犬猫を救おうと歩みだす。ある日、花井が保護犬の窃盗容疑で逮捕されてしまい、かつての犬部部員がふたたび集まることになるが…。
おすすめコメント
映画はフィクションだが、実在の『犬部』は2004年の設立。その後16 年で日本の犬猫の殺処分数は約12分の1になった。数を減らせたのは活動の成果だろう。動物保護に係る専門家、ボランティア、市井の人々の努力の一端を見て 欲しい。作中「カメラを止めるな」のしゅはまはるみさんのボランティアぶりは名演。(Y.F)
ゲスト
篠原哲雄 (しのはら・てつお) 監督
1962年2月、東京生まれ。森田芳光監督等の助監督や自主制作映画で経験を積み、山崎まさよし主演の初長編映画『月とキャベツ』(96)で話題を集めた。以降、『はつ恋』(00)や『命』(02)、『地下鉄(メトロ)に乗って』(06)、『起終点駅 ターミナル』(15)など話題作を監督。野村萬斎が主演した『花戦さ』(17)で、第41回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞。
しんゆり映画祭では『木曜組曲』(01)、『深呼吸の必要』(04)が上映された。
「今観るべき知られざる名作」
『未知への飛行 ー フェイル・セイフ ー』
あらすじ
コンピューターの誤作動から核攻撃の指令を受けた米国の爆撃機がモスクワに向かった。取消指令にも拘らず爆撃機は帰還可能地点(フェイル・セイフ)を越えてしまう。米国大統領はホットラインでソ連首相に自国機の撃墜を依頼するが、攻撃をすり抜けた一機がモスクワ上空に迫る。報告を受けた大統領は重大な決断をする…。
おすすめコメント
「12人の怒れる男」のS・ルメット監督とH・フォンダ主演による核戦争の勃発回避をめぐる政治サスペンスの名作。政治家などから核兵器の使用や保有をめぐる発言が飛び交っている今こそ必見。本作と同テーマで同年(1964年)に製作されたS・キューブリック監督「博士の異常な愛情…」との比較も面白いかも。(委員長)
ゲスト
森田健司 (もりた・けんじ) さん ~映画評論家~
映画評論家、日本映画ペンクラブ会員、日本歴史時代作家協会理事。
1958年、大分県生まれ。法政大学経済学部卒。編集プロダクション、出版社を経て、91年から夕刊紙「日刊ゲンダイ」に記者として勤務。映画コラム「観ずに死ねるか」「孤独の映画」「孤独のキネマ」で旧作を中心に洋画・邦画の紹介記事を執筆。2021年、『孤独のキネマ』(松柏社)を上梓。
HPは「モリケンの『孤独のキネマ』」(https://kodokunokinema.com)
「しんゆりこどもシアター」
『長くつ下のピッピ』(日本語吹替版)
イベント調整中
上映スケジュール
11月 3日 (木・祝) 14:45 小劇場
11月 6日 (日) 10:00 小劇場
1970年/スウェーデン・西ドイツ合作/78分
監督:オッレ・ヘルボム
原作・脚本: アストリッド・リンドグレーン
撮影:カッレ・ベルイホルム
出演:インゲル・ニルソン (日本語吹替:岸田今日子)
ベール・スントベリー (伊藤幸子) マリーア・バーション (山乃廣美)
あらすじ
トミーとアニカの隣のお家"ごたごた荘"に、赤いおさげにソバカスだらけで世界一力持ちの女の子・ピッピがやってきます。3人はすぐに仲良しになって、お菓子を買い占めたり、気球に乗ったり、自由で素敵な毎日を過ごします。ある日、ピッピがお父さんからもらったたくさんの金貨を狙って2人の泥棒が近づいてくるが…。
おすすめコメント
今年は原作者リンドグレーンの没後20周年。世界中で愛され、誰もが知っている「長くつ下のピッピ」。でもこの映画版をご覧になった人は意外と少ないのでは?自由奔放なピッピのキャラクターは今観ても強烈です。そしてあの有名な日本のアニメ映画の主人公のモデルになっています!それは観てのお楽しみ!
「これからの濱口竜介」
『偶然と想像』
濱口竜介短編集
第一話 魔法 (よりもっと不確か)第二話 扉は開けたままで
第三話 もう一度
あらすじ
【1】モデルの芽衣子は撮影帰りのタクシーの中、友人の恋バナを聞かされ、その後ひとり向かった先は…
【2】作家で大学教授の瀬川に逆恨みした生徒が同級生の奈緒に色仕掛けの共謀をもちかける
【3】同窓会に参加するため仙台に来た夏子は駅のエスカレーターで旧友とすれ違い駆け寄る。20年ぶりの再会を喜び話し込むが…
おすすめコメント
コロナ禍だからこそ見直したい「対話」の大切さ。人生の痛みをり越えて再出発するヒロインたちの姿に心が温かくなり、そして気づくでしょう、偶然は「必然」だったと。偶然に驚き戸惑い、想像をめぐらせ、会話の緊張感と臨場感、大勢で見て生まれる会場の連帯感…と、様々な「映画体験」をお楽しみください!(ゆーみん)
「佐藤忠男先生追悼上映」
『オールド・ドッグ』
上映スケジュール
11月 5日 (土) 10:15 映像館
2011年/中国/88分
監督・脚本:ペマ・ツェテン
撮影:ソンタルジャ
出演:ロチ、ドルマキャプ、タムディンツォ
あらすじ
チベットの牧畜民の老人は老マスチフ犬を飼っている。折しも富裕層の間にマスチフ犬ブームが起き、犬泥棒が現れたり、しつこく付きまとう仲買人がやってきたり、心の休まる暇がない。老人の息子までもが大金を得たいがために、犬を高値で売り飛ばそうとする。しかし老人は「犬は民族の誇り」と手放すことを頑なに拒む…。
おすすめコメント
2012年の本映画祭で上映。第12回東京フィルメックスグランプリ受賞作品。経済発展の進むチベットを背景に、犬との関係を通じてチベット民族の現状や誇り、失われていく文化について描いた作品。衝撃のラストに息を飲みます。佐藤氏はアジア各国の優れた作品の紹介に情熱を注がれていました。
【お詫びと訂正】
上記おすすめコメントにおいて「2012年の本映画祭で、佐藤忠男氏の解説により上映。」とご紹介いたしましたが、こちらは誤った情報でございました。お詫びして訂正させていただきます。詳細はこちらでご確認をお願い申し上げます。
佐藤忠男さんの思い出
2022年春3月、映画評論家の佐藤忠男さんの訃報に接する。映画祭でアジア映画の紹介、ゲストトーク、映画学校の卒業制作やジュニア映画制作ワークショップの講評、アートセンターをも見守り続けた佐藤さん。
私は、市民スタッフとして、2001年から15年ほど映画祭パンフレットの編集で佐藤さんの原稿を担当した。締切り厳守、読みやすい文章で書かれた意図のはっきりした文面。原稿を読み重ねながらアジアの様々な事情を知り、映画を観る機会は増えた。今ではかつて観た国々の作品をベースにそれぞれの現在を考える。映画人などの制作事情にも思いをはせる。
私は日頃、佐藤さんを親愛をこめて「忠男ちゃん」と呼びリスペクトしていた。原稿以外でも接する機会はあったのに、その微妙な距離を埋められないまま「忠男ちゃん」は逝ってしまった。なんと嗚呼な合掌。
『SATO TADAO』のドキュメンタリーが制作中と聞く。映画評論家・佐藤忠男の真実とは?公開日が待ち遠しい。(中村礼子)